事例
Aさんが死亡して相続が発生しました。その相続人はBさんとCさんです。
しかし、相続人の1人Bさんは認知症にかかっており、その判断能力に問題があります。
遺産分割協議は相続人全員でしなければならず、認知症の者でも除外することはできないと聞いたので、CさんはBさんに、Cさんが遺産をすべて取得するという遺産分割協議書を見せて署名捺印するように言ったところ、Bさんは「うんうん」と笑顔で頷いて署名捺印してくれました。
問題点
遺産分割協議をするには意思能力が必要です。意思能力を欠く者がした分割協議は無効となります。
認知症だからといって必ずしも意思能力を欠くという訳ではなく、分割協議をしたときに意思能力があれば法律的には有効となりますが、意思能力の有無の判断は難しく、後に問題となることがあります。
解決方法
意思能力を欠く者につき成年後見の申立てをし、家庭裁判所により選任された成年後見人が本人にかわって遺産分割協議を行います。
成年後見人には親族等も就任することができますが、成年後見人となる者が相続人でもある場合には本人と利益が相反することになりますので、さらに特別代理人の選任が必要になります。
司法書士等専門職が成年後見人になる場合には別途特別代理人を選任する必要はありません。
(注)成年後見人が就任した場合には、原則として法定相続分よりも少ない分割協議はできなくなりますので注意が必要です。