団体信用生命保険での抵当権抹消登記

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの返済中に債務者が死亡又は重度な障害になった場合に、ローン残額に相当する保険金が債権者に支払われる保険です。

住宅ローンを組んだ場合には、購入した不動産に金融機関や保証会社の抵当権が設定されています。

団信に加入している債務者が死亡した場合には,その保険金でローン残額が完済されるので、抵当権も消滅します。
ただし、登記は自動で抹消されないので、抵当権抹消登記申請をする必要があります。

事例

Aさんが死亡してその相続人はBさんとCさんです。
Aさんは住宅ローンを組んでいましたが、団信に加入していたので保険金でローン残額が完済されました。

しかし、BさんとCさんの遺産分割協議はなかなか整いません。

金融機関から送付されてきた抵当権抹消書類の うち代表者事項証明書は発行後3か月以内でないといけないと聞いたので、先に抵当権の抹消だけをしてしまおうとしましたが、このままでは 抵当権は抹消できないと言われました。

解決方法

不動産登記は物権変動の過程を忠実に再現しなければなりません。

債務者であるAさんが死亡し、団信による保険金が金融機関に支払われることにより、住宅ローンが完済され抵当権が消滅しますので、まずはAさん死亡にともなう相続登記(名義変更)をしたうえで、その相続人から抵当権抹消申請をしなければなりません。

遺産分割協議がととのわない場合には、法定相続分で一度相続登記をしてから抵当権を抹消し、後に遺産分割協議がととのった際に不動産取得者へ所有権移転登記をすることができます。